2015年03月18

ミスカミスカ®物語 17

テーマ:ミスカミスカ
ミスカミスカ®の抗糖化作用8:糖尿病と糖化およびミスカミスカ®の効用2
血液中の糖化反応
血液中には成分としてタンパク質(主にヘモグロビン、アルブミン、グロブリンなど)とグルコース(血糖)が常に一定の濃度で存在しています。そのために血液中では図1に示すような糖化反応が常に起こっています。
この反応の前期反応生成物のアマドリ化合物は糖尿病診断のマーカーとして利用されています。 
後期反応では酸化、脱水、縮合、環状化など複雑な中間段階を経て、終期段階で不可逆的な最終糖化産物(AGEs)を生成します。このAGEsの生成反応は酵素的な制御がなされず、非酵素的に生体タンパク質において進行する修飾反応です。そのため血液中のグルコース濃度が高くなるほどAGEsはより多く生成します。生成したAGEsが血液はじめ各組織中に蓄積されると、糖尿病血管合併症、動脈硬化、神経変性疾患、加齢関連疾患などの発症に共通した原因になります。
糖尿病と血管障害
1)血管について

血管には、動脈(大動脈を含む)、細動脈、毛細血管、細静脈、静脈(大静脈を含む)の5種類の血管があります。図2,3に示すように動脈、静脈は内膜(内皮細胞、基底膜)、中膜(平滑筋)、外膜の3層から成り、各膜間に弾性板があります。細動脈、細静脈は内皮とそれを取り巻く平滑筋から構成されています。これらに対して毛細血管(図4)は1層の内皮細胞と基底膜からなり、所々に周皮細胞があり、身体のほぼすべての組織に分布しています。毛細血管は赤血球がやっと通るほどの細管です。また、非常に薄いので多くの物質が容易に血管壁を通過し、ここで血管内外の物質交換(栄養物と老廃物の交換)がなされます。そのため、肝臓、腎臓、神経系、筋などの代謝活性の高い組織には発達した毛細血管網があります。


1)および3)は“羊土社発行「臨床につながる解剖学イラストレイテッド」”より
2)は“ヌーヴェルヒロカワ発行「カラーで学べる病理学第3版」”より

2)血管障害
 糖尿病の治療の大きな目的は血管障害の予防です。糖尿病による血管障害には小血管障害と大血管障害の2種類あります。前者は毛細血管など顕微鏡レベルの細い血管が侵される病態で、糖尿病に特有の3大合併症といわれる網膜症、腎症、神経障害です。後者は目で見える血管の障害で、脳卒中、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症です。
3)血管障害の原因
血管障害の発症の原因は直接AGEsによる場合とAGEsに対する受容体1を介する場合があります。前者の場合はAGEsが血管内皮に蓄積されることにより発症します。後者の場合はマウスを使った研究で、血管内皮細胞でRAGEを過剰発現するトランスジェニックマウスを用いて糖尿病を誘発すると、糖尿病腎症の発症し、進行します。これに対して全身でRAGEの発現を欠くRAGEノックアウトマウスでは糖尿病を発症させても、腎症の発症がないという研究報告があります。この結果はRAGEが血管障害の発症、進展に直接関与していることを示しています。

1)AGEsに対する受容体(RAGE:receptor for AGEs):膜タンパク質の1種で、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞,周皮細胞、腎メサンギウム細胞、神経細胞などで認められています。
糖尿病血管合併症
 糖尿病血管合併症は高血糖が慢性化すると、血液中での糖化反応が亢進することにより多くのAGEsが生成します。これらのAGEsが毛細血管網の発達した腎臓、神経系、網膜などの血管内皮細胞に蓄積され、小血管障害が起こることが要因の疾病です。予防のためには高血糖をコントロールするとともに、血液中の糖化反応を抑制することが必要です。
(文責:光永 俊郎)

プロフィールPROFILE


光永 俊郎(みつなが としお)

農学博士。TOWA CORPORATION株式会社 学術顧問、近畿大学名誉教授、日本穀物科学研究会幹事、日本栄養・食糧学会(評議員・終身会員) 。2011年瑞宝小綬章授章。

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