2014年10月03
ミスカミスカ®の抗糖化作用7:糖尿病と糖化およびミスカミスカ®の効用1
血液中の糖化反応
血液中には成分としてタンパク質(主にヘモグロビン、アルブミン、グロブリンなど)とグルコース(血糖)が常に一定の濃度で存在しています。そのためにPDF1に示すように血液中では常に糖化反応が起こっています。
この反応はグルコースのアルデヒド基がタンパク質のN末端アミノ基やリジンの
ε‐アミノ基やアルギニンのグアニジノ基と反応して、シッフ塩基を形成することから始まります。この反応は可逆的ですので、グルコースの濃度が高いほど化学平衡はシッフ塩基を形成する方向に傾きます。シッフ塩基は、次いで分子内転移反応(アマドリ転移反応)を起こして、比較的安定なアマドリ化合物になります。アマドリ化合物生成までの反応は前期反応と呼ばれています。
この前期反応の最終生成物として血液中には以下のアマドリ化合物が存在します。
ヘモグロビンA1c:赤血球の構成成分タンパク質であるヘモグロビンのβ鎖グロビン
(HbA1c) のN末端アミノ酸残基のバリンにグルコースが結合したアマドリ化合物
フルクトサミン:血清タンパク質のアルブミンとグロブリンにグルコースが結合した
アマドリ化合物
グリコアルブミン:血清タンパク質のアルブミンにグルコースが結合した
アマドリ化合物
さらに、この反応は酸化、脱水、縮合、環状化 など複雑な中間段階を経て、終期段階で最終糖化産物(AGEs)を生成します。この反応は後期反応と呼ばれています。
アマドリ化合物の糖尿病への臨床応用
糖尿病は血液中のグルコース濃度(血糖値)が病的に高い状態を指す病名です。血糖値は、インスリン、グルカゴン、コルチゾールなどのホルモンの働きによって正常な人では常に一定範囲に調節されています。しかし、いろいろな原因によってこの調節機構が破綻すると、血糖値が異常に高くなり、糖尿病を発症します。
一般に健常者では空腹時血糖値100㎎/dℓ未満、食後2時間140㎎/dℓ未満です。しかし血糖値が空腹時血糖値126㎎/dℓ以上、食後2時間200㎎/dℓ以上であると糖尿病と判断されます。この値は測定時の状態で、食事による影響など不確実な要素が含まれ、慢性高血
糖かどうかの判定が難しい点があります。
これに対して血液中のアマドリ化合物は血糖値が高いほど生成量は多く、血液中で一定期間寿命がありますので、過去の血糖値を記録していることになります。血液中のアマドリ化合物の含量は慢性高血糖であるかどうかを反映していますので、血液中のアマドリ化合物量は糖尿病マーカーとして利用できます。
糖尿病マーカーとしてのHbA1c
HbA1cは血液中の含量は血糖値が高いほど増加します。赤血球の寿命は約120日です
ので、過去1~2月間の平均血糖値を反映しています。日本糖尿学会では診断基準として総ヘモクロビン量に対してHbA1c量が6.0%以下を正常値とし、6.5%以上は糖尿病と診断されています。
糖尿病マーカーとしてのフルクトサミンとグリコアルブミン
血清タンパク質の半減期は15~20日ですので、フルクトサミンの含量は過去2~3週間の血糖状態を反映しています。これも血糖値コントロールの指標として用いることができるとされていました。しかし、個人間のフルクトサミン濃度にかなりのばらつきがあることなどから、正常値の設定に困難がありました。
最近になり、フルクトサミンの中のグリコアルブミン(糖化アルブミン)のみを定量する方法が開発されました。グリコアルブミン濃度はフルクトサミン濃度のようなばらつきがないため、現在ではグリコアルブミンの測定が採用され、診断基準として総アルブミン量に対してグリコアルブミン量が17%以下は正常値、20%以上は糖尿病と診断されています。
糖尿病の検査
糖尿病の検査で採血して、血糖値、グリコアルブミン値、HbA1cを測定することにより、下記のように糖尿病の早期発見および有効な治療効果の確認ができます。
ミスカミスカ®物語16
テーマ:ミスカミスカ
血液中の糖化反応
血液中には成分としてタンパク質(主にヘモグロビン、アルブミン、グロブリンなど)とグルコース(血糖)が常に一定の濃度で存在しています。そのためにPDF1に示すように血液中では常に糖化反応が起こっています。
この反応はグルコースのアルデヒド基がタンパク質のN末端アミノ基やリジンの
ε‐アミノ基やアルギニンのグアニジノ基と反応して、シッフ塩基を形成することから始まります。この反応は可逆的ですので、グルコースの濃度が高いほど化学平衡はシッフ塩基を形成する方向に傾きます。シッフ塩基は、次いで分子内転移反応(アマドリ転移反応)を起こして、比較的安定なアマドリ化合物になります。アマドリ化合物生成までの反応は前期反応と呼ばれています。
この前期反応の最終生成物として血液中には以下のアマドリ化合物が存在します。
ヘモグロビンA1c:赤血球の構成成分タンパク質であるヘモグロビンのβ鎖グロビン
(HbA1c) のN末端アミノ酸残基のバリンにグルコースが結合したアマドリ化合物
フルクトサミン:血清タンパク質のアルブミンとグロブリンにグルコースが結合した
アマドリ化合物
グリコアルブミン:血清タンパク質のアルブミンにグルコースが結合した
アマドリ化合物
さらに、この反応は酸化、脱水、縮合、環状化 など複雑な中間段階を経て、終期段階で最終糖化産物(AGEs)を生成します。この反応は後期反応と呼ばれています。
アマドリ化合物の糖尿病への臨床応用
糖尿病は血液中のグルコース濃度(血糖値)が病的に高い状態を指す病名です。血糖値は、インスリン、グルカゴン、コルチゾールなどのホルモンの働きによって正常な人では常に一定範囲に調節されています。しかし、いろいろな原因によってこの調節機構が破綻すると、血糖値が異常に高くなり、糖尿病を発症します。
一般に健常者では空腹時血糖値100㎎/dℓ未満、食後2時間140㎎/dℓ未満です。しかし血糖値が空腹時血糖値126㎎/dℓ以上、食後2時間200㎎/dℓ以上であると糖尿病と判断されます。この値は測定時の状態で、食事による影響など不確実な要素が含まれ、慢性高血
糖かどうかの判定が難しい点があります。
これに対して血液中のアマドリ化合物は血糖値が高いほど生成量は多く、血液中で一定期間寿命がありますので、過去の血糖値を記録していることになります。血液中のアマドリ化合物の含量は慢性高血糖であるかどうかを反映していますので、血液中のアマドリ化合物量は糖尿病マーカーとして利用できます。
糖尿病マーカーとしてのHbA1c
HbA1cは血液中の含量は血糖値が高いほど増加します。赤血球の寿命は約120日です
ので、過去1~2月間の平均血糖値を反映しています。日本糖尿学会では診断基準として総ヘモクロビン量に対してHbA1c量が6.0%以下を正常値とし、6.5%以上は糖尿病と診断されています。
糖尿病マーカーとしてのフルクトサミンとグリコアルブミン
血清タンパク質の半減期は15~20日ですので、フルクトサミンの含量は過去2~3週間の血糖状態を反映しています。これも血糖値コントロールの指標として用いることができるとされていました。しかし、個人間のフルクトサミン濃度にかなりのばらつきがあることなどから、正常値の設定に困難がありました。
最近になり、フルクトサミンの中のグリコアルブミン(糖化アルブミン)のみを定量する方法が開発されました。グリコアルブミン濃度はフルクトサミン濃度のようなばらつきがないため、現在ではグリコアルブミンの測定が採用され、診断基準として総アルブミン量に対してグリコアルブミン量が17%以下は正常値、20%以上は糖尿病と診断されています。
糖尿病の検査
糖尿病の検査で採血して、血糖値、グリコアルブミン値、HbA1cを測定することにより、下記のように糖尿病の早期発見および有効な治療効果の確認ができます。
- 血糖値:採血した時の血糖状態。
- グリコアルブミン値:2週間前の血糖状態。
- HbA1c値:1ヵ月前の血糖状態。
(文責:光永俊郎)